大学時代の仲間たち

 大学卒業以来20数年ぶりに再会した彼は、全く変わっていなかった。
 フロリダ販社の副社長からシンガポール販社の社長として赴任準備をするために、日本に立ち寄るというので急きょ大学時代の仲間に召集をかけた。平日19:00に大学そばのお店に集まったのは5人。
 アルゼンチン→ベルギー→フランス→アメリカと、まさに世界を股にかけた活躍ぶり。ひそかに予想していたとおり独身、バツなし。身軽にどこにでも行けるわけだ。
 外国にかぶれた厭味なヤツになっていたらどうしよう、という心配も杞憂に終わった。学生時代そのままのノリ、笑いのツボ…。誰かが詳細に覚えていることをこちらは全然覚えていなかったり、またその逆だったり。その当時の恥ずかしい思い出も、今となっては笑いにかわる。
 女性の参加者は私一人だったこともあり、話題もワールドワイド。経営から株など私には無縁の話題に広がっていくのが刺激的でもあり、また自分の現在の生ぬるさを再認識させられた。男性人たちの世界に向けた目と責任の重さに圧倒された。みんな、あの頃と同じ眼で頑張っている。

 今はもう忘れてしまいがちな大学時代を、確かに私は過ごしてきたんだという証明をしてくれた夜だった。
 今度いつ会えるともわからない友。固い握手で「またね」と別れた。