京都を満喫

 地下鉄東西線蹴上(けあげ)駅で降り、この時期だけ琵琶湖疏水を運行している十石舟の予約をまず取りに行く。
到着した11時の時点ですでに5時間待ち!覚悟はしていたけど、ここまでとは…。でも、せっかく来たんだし、ということで17:00PMの予約を取った。
 それからインクラインを散歩し、南禅寺へ。
 南禅寺といえばもみじの美しさがよく知られていて、桜の木はそう沢山はないけれど、この山門を背景とした桜の美しさは格別です。

 細い道を散歩していくと、「碧雲荘」と地図に記された邸宅が。そこのしだれ桜はまさに満開。濃いピンクがシャワーのように降り注ぎます。視界に入るものはすべて桜、桜、桜…。

 そのあと、タクシーで白川通りの住宅街にある「聖宙庵」というフランス料理のお店へ。炉のきってあるお茶席を改装したお店で、まずお薄が出されてからゆっくりと食事が始まり今日の桜見物にはぴったりのお店だった。
 そのあと、哲学の道へ。密に植えられているおかげで、どこまで行っても途切れることなく桜、桜、桜…。銀閣寺近辺は、清水坂と同じくらいにぎわっていた。

 そして乗舟場に戻って時間を待つ。24人乗りの舟で25分の遊覧。橋の下をくぐるときは屋根が下降し、ぎりぎりを通過していく。疎水に浮かぶ花びら。手に届きそうなほど枝をのばした桜。太陽が西に傾き始める時間帯で、光の加減がなんとも風情がある。大文字山に西日があたっているのも趣深い。この時間に乗れたのは大正解だった気がする。

 こんな観光シーズンど真ん中に、桜の名所を集中して見て回るなんて、京都生活が長い私にとっても初めてだったかもしれない。哲学の道南禅寺にいたっては、学生時代に紅葉を見たきり…くらい遠い昔のこと。
 このシーズンになるたび、駅の大混雑、道路の大渋滞ばかりを嘆いていたけど、たくさんの観光客に来ていただける理由がよくわかった。
 全国各地にそれぞれ見事な桜は数々あれど、「侮るなかれ、京都の桜」が、今回の正直な感想。すごいわ、京都の桜。歴史に裏打ちされた背景との融合がやはり他にはない景色を作り上げているのだとしみじみと感じた。
 今回同行したのは、奈良の友人。こんな機会がないとなかなか観光地に出かけることがない地元人に、いいきっかけを作ってくれて感謝のひとこと。
 今回見られたこの美しい桜は、生涯心の中に生き続けると思います。