美しい人

 滋賀県にあるMIHOミュージアムで、良寛さんが書いた写経のレプリカを買った。なにせ紙のサイズが特殊なので、三条寺町にあるフレームの専門店に出向いてオーダーすることになった。
 フレームの専門店は初めて足を踏み入れる場所。材質、デザイン、見せ方…店内を歩いているだけでも興味深いものがいっぱい。いろんな人が実物を持参して、アドバイスを受けながら注文をしている。
 そんな中、私が吸い寄せられるように見てしまった女性。スケッチブックを持参、花の水彩画(?)を見せながら、それに合うフレームを相談している。年齢は50代後半。真っ白なシンプルなシャツに、シンプルなジーンズ。165センチ前後とスリムなボディ。髪は白と黒が半々のロングソバージュ。シルバーの大きめのクロスペンダントに個性的なリング。いかにも「絵をやっています」という香りが全身から漂っている。これほど白シャツが似合う人を見たことがない。
 年相応の御顔立ちだったけど、自信に裏打ちされたあのすっとした姿と磨かれたセンス…。こんな風に年をとれるってすごい、と少し自信をなくしてしまった。