お子ちゃま

 オペラが終わってから、ハービスエント内のオイスターバーで軽くおなかに入れた。
 座ったのは、丸い大テーブルで、私たちの他に、大学生の若いカップルと30歳前の男性。
 その男性は、一人で生ガキをおいしそうに食していた。白ワインも2度お代わりし、いかにも慣れた手つきでカキを口に運び、スタッフとのやり取りも慣れた感じ。しばらく時間が経ち、その男性がトイレに立った時、そばの大学生の女子がすかさず言った。
 「こんなとこに一人で来るなんて、友だち、いーひんのかなぁ。一人で食べておいしいんやろか。私なら絶対いややし。スタバでも一人はいやや」

 そうか…。若い子はそう見るのね。学食で一人で食べるくらいならトイレで食べたほうがいいと思うらしく「便所めし」なんて、言葉が生まれるくらいやもんね。
 私にしてみれば、自分で稼いだお金で自分の好きなものを、誰に気を使うことなく思う存分堪能できるって、本当の意味で大人だと思うんやけどね。一人で楽しめるって、真の大人。

 おしゃれな大人の空間に思えたそのお店は、誕生日を祝うグループが多かったのか、頻繁に「Happy Birthday」の大音量の曲と手拍子がわき、私たち熟年夫婦には何となく居心地が悪く、早々に後にした。

 帰宅してからごそごそとカップラーメンを食べるところが、バリバリの庶民やわ〜。