対岸の彼女

対岸の彼女

 ちょうどマスコミに取り上げられる時期が「負け犬の遠吠え」とかぶったせいもあり、「未婚で仕事を続ける女」と「既婚で仕事をしない女」が「対岸」にいてあいいれないという内容?と変な先入観を持っていました。

 とんでもありませんでした。確かに「未婚でバリバリ仕事をこなす女社長」と「子育て、口うるさい姑、仕事に理解のない夫に悩む仕事を始めたばかりの既婚女性」は登場しますが、「対岸」にいるのは全く別のものでした。

 物語は前者の高校時代の描写と、後者の現在の描写が交互に現れます。テンポのよさ、しっかりした構成、丁寧な目線での表現・・・。透明感を感じる作品でした。

 この本もレイによって、息子の高校の図書館から借りてきてもらったのですが、図書館の本って、帯やカバーがはずしてありますよね。(中には、帯の一部分を内表紙に張ってくれている図書館もありますが)
 調べてみるとこの作品の帯に「女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女、立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。」って書いてあるらしいのです。
 
 この文章を書いた出版人、本当にこの作品を読んでからこれを書いたのですか!