きよしこ 

きよしこ (新潮文庫)

きよしこ (新潮文庫)

 娘が学校か塾で紹介されたらしく、その話をしてくれたときの「きよしこ」という音がずっと耳に残っていて読んでみました。
 吃音の少年(作者本人)が少年時代をどう生きたかが、淡々と描かれている作品です。特別な大事件が起こるでもなく、吃音をどう克服したかが描かれているわけでもありません。
 タイトルの「きよしこ」とは、あの「きよしこの夜」の歌を勘違いして覚えていた作者の想像上のともだちです。星の降る夜いつかたずねて来てくれて、すらすらと思いっきりおしゃべりをするという夢をかなえてくれると心の支えになっています。
 少年のその健気さ、不憫さに、辛くなるシーンもところどころありましたが、ひたむきな姿に救われます。「少年時代」・・・なんともざわざわするこの響き。

 娘は、これで夏休みの宿題の「読書感想文」を書くって言っていますが・・・。