美しい日本語

 2人の子供たちのそれぞれの冬休みの宿題で、「源氏物語」や「枕草子」を暗誦する、百人一首を覚える、というのがあります。
 「おかあさん、聞いていて」と確認に来るのですが、私には百人一首で遊ぶという習慣もなかったし、それらの長文をいずれも暗誦したことがないので、あっているかどうかもなんとなくしかわかりません。
 宿題で覚えさせられたかどうかは、年齢的なもの?同年代の友人に尋ねると、「覚えさせられた」と言う。じゃあ、地域的なもの?だとすれば、なんて文化的なレベルが低い地域で私は過ごしたんだ。
 子供たちが声に出して諳んじているのを聞いていると、なんとも心地いい。日本語の「音」ってなんてきれいなんだ、日本の美意識の原点がここにあると実感してしまいます。
 この年齢で全部を覚えるとなると気が遠くなりそうです。子供たちも今は「強制」でしかないこの宿題も、それらの名文がすらすら口から出てくるというその大事な意味を、きっとずいぶん先になって理解することでしょう。