奈良母子3人放火殺人事件

 マスコミ報道がだんだんと、父親を追い詰めているような口調になってきているのがいたたまれません。
 「成績のことでうるさく言われる」「年5回ある保護者会の当日。中間テストの点をうそついていたことがばれる」「お母さんがいちいち細かくお父さんに成績のことを報告する」…。
 忙しい父親に子供の様子を報告するのは母親として当然の役目でしょう。「暴力を受けることがあった」というその「暴力」の程度がわかりませんが、報道されている「ものさしでたたかれる」くらいのことなら、しつけの範疇でしてしまうこともあるでしょう。「将来は医者に」という期待の重圧も言われていますが、こうあって欲しいという思いはどの親も持っているもの。どこからが「過度の重圧」なのでしょう。私たちに、この父親が特別だったとはとても責めることは出来ません。
 「人生をリセットしたい」という少年の言葉に、すぐに「ゲーム世代の特徴」などという言葉で片付けてしまうのは簡単です。繊細な心に同居する大胆な行動と幼稚な行動。私たち親世代には、自分の思春期の頃のことを思い出しても想像すら出来ないような思考・行動パターンが今の子供たちに備わっているようで、そのことがいちばん私たちを混乱させます。