重松清 三昧

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

 映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」を思わせるような、過去と現在を行き来するお話。自分の人生を振り返って、「あの時、ああしていれば」と思ってしまう人生のターニングポイントにタイムスリップし、人生を構築しなおしたい人達が登場する。未来の事実は、変えられない。でも、そこで自分は何を伝えるのか。悲しみと少しの希望が詰まった作品でした。
トワイライト (文春文庫)

トワイライト (文春文庫)

 現在、いちばん私の心にしっくりくる作家。描く人物は、主に重松氏と同年代の40歳前後の男女。心理状態の追い方とその表現方法が秀逸で、どんどん引き込まれていきながら読み進んでいると、突然「そう来るか!」といった斬新な描写。テレビでお見かけする重松氏の「ちょっと太目の気のいいおじさん」からは想像のできない繊細さ。
 小学6年生の時に埋めたタイムカプセルを開けるために、集まった男女が織り成す物語。40歳の今、それぞれが抱える問題は、リストラ、病気、離婚、キャリアの行き詰まり・・・。表紙の絵に使われている大阪万博の時の「太陽の塔」。それに象徴される明るい未来の先に、今自分たちはいるのか。
 読み出したら一気に読み上げてしまいたい性格なので、バスの中では気持ち悪くなるので読めないのに、信号待ちのわずかな時間までも惜しんで読んでしまいました。