エリカ

エリカ

エリカ

 エリカ(40歳)が急逝した親友の葬儀に、その親友の愛人とともに出席するところから物語が始まる。
 亡き親友の愛人と恋愛関係に落ちていく。ずっとつきまとう猜疑心、なにかちがうという感覚、そんな心理描写が延々と続きます。登場人物も少なく、特別の事件が起こるわけでもない。8割がた読み進んでも特に何にも起こらないので、「これってそんな本なの?」と思い始めてしまいました。
 そんな中で唯一、2回ほど数ページにだけ登場したハンバーガーのデリバリーをしている若者。その伏線が後半になってから、急ピッチで展開していきます。このあたりの筆のタッチは、ミステリーも多く手がけている小池さんならでは。
 だいたい愛人の通夜があったその日のうちに、その親友を口説きにかかろうとするヤツに、まともな恋愛感覚が育っているとは思えません。なのに、躊躇しながらも40歳の大人の女性が引かれていってしまうというのは、「恋は盲目」たる所以? それにしてもちょっと現実感がない。