「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 Aグループの集まりの「2年前」の話が進んでいき、一方で、Bグループの集まりの「現在」の話が進んでいく。AとBのグループには、数人だぶる人がいる。そうした細かいピースが寄せ集められながら、AとBの集合の重なり部分がだんだん大きくなって、最終的に着地する、という展開の仕方です。「動物殺し」が絡んでくるけど、重くはないです。
 さまざまな「ミステリー大賞」を受賞しておられる作家のようです。ミステリーという分野はなんとなく、私のはまりそうな分野ではないな、とずっと遠ざけていました。
 関西ローカルの「ちちんぷいぷい」という情報番組の中で、西アナウンサーが大絶賛しておられたので、読んでみる気になりました。
 こういう作品も「ミステリー」って分類するかどうかは、私にはわかりません。あとがきに書いてある「清冽な感性とパズル的な構成が融け合った独自の作風」がこの人の全作品に通じるところなのかもわかりませんが、「このときに、こう返すか!」のするどい感性とテンポのよさが随所に見られ「小気味いい」という言葉がぴったりです。いやぁ、久しぶりの読後感です。