7月24日通り

7月24日通り

 この人の作品には、いつも「透明感」を感じる。
 舞台の地方都市とリスボンの市街地図が似ていることを発見し、自分の街を勝手に「ガレット通り」とか「ジェロニモ修道院前」とか置き換えている。それが読み進めていくときに、突然現れるのがいいリズムになっている。
 結末は私にはすこし意外だった。
ランドマーク

ランドマーク

 高層ビルの設計士と、鉄筋工の日常生活の話が交互に続く。建設中のスパイラル構造のビルの不安定さを心の不安定さに重ね合わせている。
 吉田修一だから文章はまちがいないけど、私にはあまり重なるところがなかった。
グロテスク

グロテスク

 すみません、脱落しました、中国の段あたりで。
 どんな本でも絶対最後まで読む、を信条にしている私ですが、読んでいるときにずっとつきまとうなんともいえない息苦しさに負けました。いじめ、ねたみ、貧困、売春、高慢…ひたすらそんな「負」が続く。