「図書館の神様」図書館の神様作者: 瀬尾まいこ出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2003/12/18メディア: 単行本 クリック: 43回この商品を含むブログ (235件) を見る

 どんな作者でも少なくとも2冊は読むことにしている。その上で、もう少し奥に入ってみるかどうかを決めることにしています。これは「幸福な食卓」につづいて2冊目。

 主人公の清(きよ)は、高校のときのクラブ活動の中の自分の発言で、仲間を自死に追いやってしまったのではないかという負い目を持ちながら生きている。なんとなく選んでしまった高校の国語教師という仕事。いやいややらされている文芸部の顧問。そして寂しさを埋めてくれるはずの不倫関係。
 文芸部のたった一人の部員の男子学生と、文学作品との関わりから、少しずつ生きる力を取り戻していく。
 「幸福な食卓」でもそうだったけど、この作者は男子の描き方がとてもうまいと思う。弟、同僚の先生、そして1年間一緒にすごした男子高校生。
 そして妻子ある男性を思う微妙な心理状態を、さらっとした、でもツイた言葉で表現しているのがこの作者のうまさか。

 ドラマでも最終回は、すべてのことに決着をつけようと盛りだくさんの内容になり、つじつまあわせをしている感が抜けないものが多いけど、この作品もそう。ちょっと終わりかたが無理やりすぎる気がしたのが唯一の残念でした。